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だが、それは所詮、一時凌ぎでしかなかった
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作者:
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時間:
2014-7-5 20:27
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だが、それは所詮、一時凌ぎでしかなかった
春がただ心地よいものであると、信じきっていられたのならどんなによかっただろう。春……現実は泥臭く、都合のよいものだけを見ていたものにとってみれば醜さすら感じられる。
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第104話:『スノークリスタル35(クオリティ・オブ・ライフ)』
―――世界の中枢。七色の氷山……黄泉への道がある場所。
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だがそれは、偽りの安らぎ。薄荷の匂いのする、スノークリスタルに身を固め、春の真実から逃げているだけ。
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七色の氷山は、既に彼女そのもの。 耳を澄ませば、タカの呼吸も、心音も感じ取ることができる。 そこに在ることを、感じ取ることができる。
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動くことも話すことも、見ることもできぬ彼女ではあるが。それでも全ての感覚が奪われたわけではない。
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それらが、徐々に蝕まれ、弱くなってきていることも。 現実のすべてを知ったタカ。 その切羽詰った状況で、それから逃れようとする術はひとつ。 現実からの剥離。 直接的なことを言えば、死だ。 実際に、タカがそのような行為に走ったのかどうかは未明であったが。 その恐怖に圧されたルコナは、タカを自身へ取り込むことでそれを防ごうとした。 だが、それは所詮、一時凌ぎでしかなかった。 黄泉への道を塞ぐ架となる役目。 タカには、元々その資格はない。 生まれ出でた時の偶然の産物ではあるが、 タカはタカである限り、その資格を得ることはないだろう。 よって、今のこの状態は永遠に保てるわけではない。 資格なきものを排除する『守り神』が不在である代わりに、 七色の氷山がタカの魂を凍りつかせる。 長くは保たないだろう。 完全に凍え切り、静止してしまうよりも早く。 タカ自らの意思で、ここから離れるよう仕向けなければならない。 その眠りから目覚め、立ち上がらなければならない。 それに対して、ルコナのできることはやはり一つ。http://www.sunglasses.smqcw.netタカには、それが耐えられなかった。都合の悪いものを……ずっと気付かずに生きていたタカには。故に、そこから逃げようとした。クロックス レディース思い出してしまった記憶がもう消せないものになってしまったのならば。その記憶を辿ることないように、眠り続けることで。
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何考えることもなく、悠久凍土に歪み続けることで。ルコナは、そんなタカを憂い秘め思い続けていた。
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その悠久の檻に加わる新たな一員。タカ・セザール。母、ルコナ・アーヴァインと共に眠るその姿は、どこか安らいでいるようにも見えた。
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