標題:
「……ファラオ
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作者:
0662418xnw
時間:
2014-7-3 19:18
標題:
「……ファラオ
「私を、行かせて」 言ったら、胸がどうしようもなく苦しくなって俯いた。泣くまいと唇を噛む。鉄の味が、私の舌先を侵した。
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「はっ」 また彼が足を進めると、誰かが駆けてくる音がした。「……ファラオ!」 ネチェルだった。
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今にも泣きそうな様子だった。今回の私の行動に、あの世に戻ってしまうのではないかと本当に心配してくれている。「侍医はいらぬ。これからヒロコと二人で話す。誰も部屋に入れるな」「はっ…」 そして先程彼が乗ってきた黒い馬に私を抱いたまま飛び乗って、私が必死の思いで走ってきた道を、彼は戻っていく。東に昇りゆく太陽を浮かべた、白い石で作られた大きな門が、どんどん遠ざかっていく。「は、離して…!私…私はっ!!」 彼の力が緩み、やっとの思いで出した声は信じられないほどに擦れていた。だけど、すぐに抱き込まれて、またぷつりと途切れてしまう。 太陽が昇る。眩しいその光に、目が眩んだ。「離しはせぬ」 今にも崩れていく私の言葉に、彼は腕に力を込めて返してくる。「決して、離しはせぬぞ」 彼の腕を感じながら、私は遠のく太陽を霞む視界の中に見つめていた。http://www.louisvuitton.smqcw.net「アンケセナーメンは神の声が聞こえたために動転し、奇行に走っただけだ。皆、持ち場に戻れ。ご苦労だった」MCM リュック 違う。違うの。 反論しようと足掻くけれど、きつく抱きしめられて声が喉で止まって消えてしまう。苦しさに咳き込むばかりで、彼の強い力に耐えるのに精一杯だった。
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「戻るぞ」 駄目。もう戻れない。 抗った私を、彼が無理に抑え込んで立ち上がる。「静まれ」 騒然とする周りの人々をなだめる声が放たれた。いつもの自信に満ちた、誰もが信用する神の声と等しいとされる言葉をその口から彼は発す。
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「セテム」 彼が呼べば、素早く側近が現れる。「今日のテーベ視察は取りやめる。お前のみ出向き、私に状況を伝えよ」
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「やはり侍医殿にお診せした方が…!神の御声が聞こえたなど、もしや冥界に御帰りになれる兆しでは…」
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傍に居れば、未来を変えてしまう。こんなちっぽけな私でも。「……お願い」 彼の目が揺れた。私の決意を察したかのように。
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「行かせ…」「ふざけるな」 地を這うくらい低い声が、走ったと思った瞬間、素早く彼の腕が動いたのを見たと同時に、自分の肩に鋭い痛みが走る。痛いと叫ぶ前に、彼の肩が目の前に迫って、私の声を塞いだ。
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