標題:
」 シェリー・ダランベールはエルフだ
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作者:
nd789dtfabq
時間:
2014-7-3 17:10
標題:
」 シェリー・ダランベールはエルフだ
「…………」 思い出すんじゃなかったとシェリーは激しく後悔した。 中途半端に脱がされたドレスと、緩(ゆる)められたコルセットが忌々(いまいま)しくシェリーの体にまとわりついている。
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ここはどこだ? トイレだ。男子用の個室。 男なのか? 生まれたときから。 ドレスを着ているのに?
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なぜ捜査する? 刑事だからだ。 刑事なのか? 正確には検死官(けんしかん)だ。または検死(けんし)解剖医(かいぼうい)。
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エレン・ヴァンダーウッドセンのドレスの色。 シェリーに迫る、血のような赤。 彼女は人か。それ以外か……。
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赤が飛び散る。炎のように。 赤が落ちる。星のように。 赤が迫る。血のように。 赤。 太陽の色。錆の色。血の色。
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……赤だ。 太陽の赤。錆(さび)の銅(あか)。――血の紅(あか)。 エルフ。儀式。人身御供(ひとみごくう)。
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神をあがめるエルフ。豊穣(ほうじょう)を願うエルフ。血を捧(ささ)ぐエルフ。 巫女を捧げ。子供を捧げ。神に捧げろ血を注げ。
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いつもなら絶対身につけないだろう、肘(ひじ)まで届いたシルクの手袋が、いやな現実を呼び起こしていた。「気がついたらしいな」「え、ぁ……陽奈(ひな)?」 突然の声に、シェリーは顔を上げる。 個室の端に背を預けて立っている、井上陽奈の姿がそこにあった。「いつからいたの?」「ずっとだ」「……ごめん。気がつかなかった」「意識が火星に飛んでいたからな。星に戻ってきた感想はどうだ?」「……ごめん」「気にしてはいない。――気にはなるがな」「…………」「何を感じた?」 シェリー・ダランベールはエルフだ。 エルフは古来、信じることを人生としていた種族だった。 森を焼いてトウモロコシの種を蒔(ま)き、太陽の神に祈りを捧(ささ)げて豊穣(ほうじょう)を祈ってきた。 人々を幸せは、神の掌(てのひら)の上にあると本気で信じていたのだ。 だから、幸せのためなら何でもした。http://www.rvmilepostguide.com「…………?」 はっとシェリーは顔を上げる。しばらくぼうっとしていたらしい。 頭がぼんやりとしている。現実と夢の狭間(はざま)にいるような気分だった。ちょうど、病み上がりの風邪から目を覚ましたときのような――まさに今の状態だ。サルバトーレフェラガモ ゆっくりと――本当にゆっくりと、シェリーは自分の状況と立場を拾い上げていった。 自分は何をしている? 捜査中だ。
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