標題:
キャスキッドソン
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作者:
mtyn8fhgidt
時間:
2014-7-2 19:56
標題:
キャスキッドソン
硝子の羽化
城の窓から見える街の光は美しかった。夜の黒青が空を染める時間、ティナーシャはその景色を僅かな寂漠を以って眺める。
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窓辺に手を置いて見入る彼女に、背後から若い男の声がかかる。「何を考えておいでです?」「別に何も」 そっけなく返してティナーシャは振り返った。そこにはトゥルダールの王子であるレジスが苦笑して立っている。
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資料本を取りにトゥルダールに戻ったティナーシャは、それを探すのに意外に時間をとられ、城に泊まることを勧められたのだ。
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彼女が見ているのはファルサスの城都ではない。自国であるトゥルダールの景色だ。もっとも街並が変わろうと、夜の姿はさほど変わらない。ファルサスと違うのは、街角に様々な魔法の光が揺れていることくらいだった。
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ファルサスに戻れば彼は確かに存在する。だがそれとは別に、あの思い出は特別なものとして彼女の中に残り続けていた。
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―――― あの彼を知っているのは、もう自分とナークしかいない。 ティナーシャは潤みそうになる目を閉じる。
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おそらく、失われた物語を唯一見てきた存在がナークなのだ。 だがナークは何も語らない。それでいいのだと思う。
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不意に手を取られて、ティナーシャは目を開いた。 レジスがすぐ隣りで微笑んでいる。「部屋までお送りしましょう」「一人で行けます」「僕が少しでも一緒に居たいんですよ」 率直な言葉に苦笑しながら、ティナーシャは頷いた。 自分がこの時代では異質な存在だという自覚はある。そんなことははなから承知のことだ。彼に愛されたいと望んで来たわけではない。彼の役に立つ為に来たのだ。 ―――― 自分は失われた彼の妻にはなれない。その代わり、出来ることをしよう。 ティナーシャは遠い時を思って微笑む。 少し悲しげな美しいその表情は、子供のように不安げな貌だった。 間近に控えたアイテア祝祭の書類を纏めながら、オスカーは凝った肩を叩いた。 たまには外で体を動かしたいのだが、少し前に叔父である宰相がなくなってその仕事を継いだ為、今は特に忙しいのだ。元々彼の父親は書類仕事がほとんど好きではなく、これ幸いと彼に色々仕事を押し付けてくる。これも勉強だとは思うが、たまに腹立たしくもなるというものだ。http://www.hermes.comparereplica.com せっかくだからと懐かしさが残る城内をあちこち見て回っていたのだが、かつて彼女が子供時代を過ごした離宮は取り壊され、王宮の一部として建て直されていた。そのことを聞いたティナーシャは形にならぬ喪失感を覚える。ドルチェ&ガッバーナ 時計 それは、幼い時間のほとんどを過ごした場所がなくなったからではない。あそこには彼と暮らした短い記憶が残っていたからだ。
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