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作者:
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時間:
2014-6-13 18:55
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その、将軍という肩書きには不釣り合いなほどに細く、白い指先で、ドワーフ族の名工が掘ったであろう、テラスの手すりの古代文字をなぞる。
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そこに聳えるは、聖城テセウス。かつて、この約束されし帝国の栄華の象徴でもあった絢爛豪華なる城である。
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第1章 未来を憂う者①
旧・神聖プロミニア帝国、皇都クリューセスには、都を一望の下にできる丘がある。
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「で、ですがイライサ鎮定将軍閣下、この城は先の戦いでこの通り焼け落ちておりますれば……」 少し前まで南伐混成軍の総司令官であったはずのガルド将軍が、もはや面影もなく上官の第三階位将軍にへりくだった口調で進言する。
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「この城は見ての通り頑丈だ。プロミニア攻略作戦の記録でも、投石機や魔法攻撃に耐え抜いたゆえに焼き討ちするしかなかったとある」
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イライサはそう説明しながら、腰を悠然と手すりに預けた。「城下町なぞに司令部を置き、〝灰色の艦隊〟がこの都に現れた際に初動に遅れた件は不問にするから、ね?」
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ガルド将軍の顔が蒼白となった。 イライサの表情には薄く笑みさえ浮かんでいたが、それはこの前任者の失態を許していたからではなかった。 軍師である自分の軍末端への影響力が盤石となるまでは、無能だろうが繋いでおくのが得策である。〝成り上がり〟と陰口を叩かれる彼なりの、現場というものをよく理解する部隊運用だった。「さて、ガルド君はその件で今から忙しいだろう。下がってよい」「は、ははぁ!」 ガルドは恭しく一礼すると、逃げるようにその場を後にした。 ふう、とイライサは一息つく。「……次は君だ。名前は確か、バシリアといったかな?」「はっ! 鎮定将軍閣下」 平伏したまま、武人らしい声で少女が答える。 イライサは笑みを見せた。ガルドが相手の時とは違う、純粋な笑みだった。http://www.capital-beach.com「〝興亡は表裏一体にして避けざるものなり〟か。昔の賢者の言葉は真理が多いねぇ」 風に亜麻色の長髪を靡かせながら、悠久の歴史をまるで世間話の一つであるかのように評する。ヴィヴィアンウエスト 一見すると、目鼻立ちの整った少年のように見える彼は、背後に控える数人の部下を振り返った。「フィルボルグ継承帝国南伐鎮定軍の司令部は、今後この聖城に構える。別荘だかに置いている司令部機能は直ちにこちらへ移すように」
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かつて、そこに立つことができるのは神皇帝ただ一人であるはずだった。 焼け落ち、醜く黒ずんだ廃墟同然のテラスに、イライサは立っていた。
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