標題:
「はい
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作者:
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時間:
2014-6-13 18:22
標題:
「はい
第二十一話 儚い夢
離宮に詳しいリリュシュの案内で部屋に通されたツァーレンは、その装飾のあまりのなさに驚きました。
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初めて足を踏み入れたその場所は、ツァーレンが暮らしていたあの部屋と同じほど、いえそれよりも男性が主人のこの離宮全体の色が少ないだけに、こちらのほうがより質素に感じます。
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かかかと上皇は笑います。 けれどツァーレンはまじまじと見ることを止めることができません。 ―――――初めてお目にかかった方だというのに、どこの、誰に、似ていると?
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「ツァーレン殿はよほどこの老いぼれの顔がお気に召されたようじゃ。それともなにか顔についておるのかな?」
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「よいよい。……ああそうじゃ。隣の部屋に医者が参っておる。手をどうかされたようじゃが」 「すこし、出来物が」 「そうか。では参ろう」 上皇に手を取られて案内された場所には、男性ほどに背が高く、意思が強そうな女性とリリュシュがなにやら話し込んでいました。けれどもどこにも医者らしき人はいません。 「あ。ツァーレンさま」 気配に気づいたリリュシュが女性の元から離れて、ツァーレンに歩み寄ってきました。http://www.af.patriotguard.net 庭師のような衣装からいつの間にか着替えていた上皇を、ツァーレンはぽかんと眺めました。 紫苑色の美しいチュニックとホーズを緩く着付け、白銀に輝く髪を垂らした姿は凛々しいものでしたが、なによりツァーレンの目を奪ったのはその容姿でした。ビルケンシュトック パリ 馬車から下りたった時に感じたあの既視感を、また感じたのです。 「おや。儂の顔をそのように見惚れずとも」
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「はい。上皇さま。このお部屋も庭もとても気に入りました」 「そうか。それはよかった。ここは見ての通り周りは庭で囲まれているが、面白味も何もないところでな。ツァーレン殿のような若い方には少々退屈かもしれぬが、出来るだけここの生活を楽しんでもらいたいとは思っておる。何かあればなんなりと申されよ」
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―――――でも、とても落ち着くわ。 「気に入られたかな?」 部屋をぐるりと見ては嘆息しているツァーレンを面白そうに部屋の入り口で見ていた上皇が、いつまでも自分に気づかないツァーレンにしびれをきらして声をかけてきました。
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「……っ。いいえ。申し訳ございません。失礼を」 帽子を被ったままのツァーレンは、この時ほど目の間に布があることに感謝したことはありませんでした。布越しとはいえ目線がどこにあるのかは人は分かりますが、顔色は綺麗に隠すからです。
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