標題:
こんなことはいままで一度もなかった
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作者:
bvypsnbkl
時間:
2014-6-12 12:31
標題:
こんなことはいままで一度もなかった
そして、再びの破裂音。 冷たい手の中、針が刺さったような刺激を感知する。「そんな……」
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次の実習までに"癒しの陣"と"守護の陣"を籠めておこうと、倉庫からもらってきたばかりの水晶。どうせ眠れないなら、いまやってしまおう。
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輝尚石が造れない。 真導士として、できて当然の奇跡を生み出せなくなっている。 真眼は開く。
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真円も描けるし、真力を注ぐこともできる。 それなのに真術を展開させることだけができない。「嘘、でしょう……?」 青ざめながらつぶやいた言葉は、目の前に横たわる事実を消してはくれなかった。 真術が――使えない。 奇跡の力が、この身から失われてしまっている。何もできない"役立たず"に逆戻りしてしまった。少しずつ積み上げてきた自信が、脆くも崩れ去っていく音がする。 過ぎた僥倖に、天罰が下った。 自室の床にへたり込み、放心したまま夜を過ごす。 朝になっても水晶のかけらは姿を残していて、非情な現実を伝えていた。http://www.hermes.rouasalaps.com(嘘……) 真術が籠るはずだった丸い水晶は、青白い手の中で粉々に砕け散ってしまっていた。ロンシャン トート 輝尚石は、どの真導士でも造ることができる。真導士ならばできて当たり前。そうと言えてしまうほど、簡単な作業だ。
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しかし、"癒しの陣"を籠めようと、額に強く念じて――予想もしなかった事態に出くわす。 こんなことはいままで一度もなかった。手の平にある、あまりに信じがたい光景を茫然と見つめる。
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丸く透き通る水晶を一つ、箱から取り出した。 両手で囲み、真眼を開く。 すっかり慣れを覚えた動作。疑いを微塵も持たなかった。真円を描き、真力を注ぎ……そして精霊を呼ぶ。いつも通りの作業。
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部屋にはたったいま抜け出した寝床と、鏡台と、質素な棚が置かれている。足早に棚まで向かって行き、一番右上の引き出しから木箱を取り出す。取り出した木箱の蓋を開けば、輝尚石となる前の水晶が、八個ばかり納められている。
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おかしい、こんなはずはない。 のぼせていた顔から、血の気が引いていくのがわかる。 操られるように木箱の水晶を取り、両手で囲んだ。今度はより慎重に作業を進めていく。丁寧に輝く円を描き、祈りを捧げながら真力を注ぐ。
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