標題:
どこをほっつき歩いているのか、愛しい女は
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作者:
uiyjfumdfe
時間:
2014-6-9 17:49
標題:
どこをほっつき歩いているのか、愛しい女は
人影の輪郭《りんかく》はくっきりとして、形からして男物の長衣を纏った者と見えた。長衣を着ているならば衛士ではない。この城内で出会うなら、大臣の位を持つ者か、招かれた諸侯であるか薬師の類である。彼らはけして一人では歩かない。ましてや日の没した後である。召ばれもせずに何処に向かうというのか。
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心細い月光の下に儚く立つ姿を目《ま》の当たりにした時には、心の臓が、祝祭の踊りを踊り出さんばかりであった。
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全ての角に衛士は居た。悉《ことごと》く倒れ眠りこけて―――。 彼女を護るはずの広大な城が、今や、彼女を囚え逃さぬ孤独の檻《おり》であった。彼女の生まれる前からの守護者であった月光さえも痩《や》せ衰《おとろ》えて無力である。
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シルフィニアは後ずさった。 「お待ちください」影が呼ばわった。 「お待ちください」タイラスは歓びにわななき呼びかけた。細い月に照らされた、夜目《よめ》にも仄《ほの》かに輝き帯びた白い姿は、まさしく彼の焦《こ》がれ求めた恋人のものである。
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http://www.diesel.ihatecharles.com まったく、見つけ出すまでどれほど時間を無駄に費やしたことか。裏の城門から城内に入るのに更に手間取り(連れてきた獣の手をまたしても借りねばならなかった)、記憶を元に、女の居そうなありとあらゆる部屋を訪ね、寝所まで辿り着けば、横になっていた形跡《けいせき》はあるものの、もぬけのから。しばし、女のつけた凹《くぼ》みに鼻を埋《うず》め、残る馨《かぐわ》しい匂いを堪能《たんのう》したが、戻ってくる気配は無い。どこをほっつき歩いているのか、愛しい女は。彼女を拘束する横暴な主人の留守とはいえ、奔放《ほんぽう》に過ぎはしないか。ディーゼル アウトレット シルフィニアが彷徨ったように、タイラスも、城内で目覚め動いている唯一の人影を求めて歩きまわった。タイラスの描いた陣が完成した今、目覚めていられるのは、タイラスと、タイラスの望む者だけなのである。
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いや……、月光は一つの影を見逃さなかった。薄暗い回廊の真ん中を唯一《ゆいつ》つゆっくりと身動きして向かってくる人影。―――目覚めていた者が居たのか。思わず歩み寄ろうとしたシルフィニアに、待て、と月が囁いた。
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人より鼻の利《き》く獣は、追跡にも役立った。今回の企みに獣を利用しようと思いついた己の機転《きてん》に、タイラスは感謝した(獣には感謝しなかった)。獣の力を借りねば、求める女の許に辿り着くまでに更に時間を要《よう》したであろう。城内に彼を妨《さまた》げる者が皆無《かいむ》であったとしても、である。
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