標題:
いや、あった、と言うべきか
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作者:
mjgipgtuy
時間:
2014-6-6 08:30
標題:
いや、あった、と言うべきか
アルゼナは、銀河連邦および宇宙軍の本部がある恒星系だ。地球からは七〇〇光年ほど離れている。アルゼナの士官学校は通称〈クロセスト〉と呼ばれ、宇宙軍のなかでも最高のエリートコースだ。 この物語は、そんな彼――クレナイ・マッカがアルゼナ行きのスペースシャトルに搭乗し、地球を飛び出した所から始まる。 少年が宇宙を目指す理由は様々あれど、恋人に振られて、というほど情けない理由もないだろう。 夢も希望もなければ、志もない。だが、可能性だけは、あるかも知れない。 マッカは、いまだ十七歳。人生は、宝探しの旅みたいなものだ。とすれば、これは旅立ち。スタートライン。http://www.cathkidston.patriotguard.net 一回でもその言葉を使ってしまったら、きっと今の自分ではいられなくなる。 だから、言えない。 なるほど。確かに彼女の言うとおり、俺は彼女より自分自身の方が大事らしい。と、納得し、マッカは彼女に背中を向けた。エルメス ケリー(――ああ、最悪だ――) 自分が最悪なのか、彼女が最悪なのか、あるいは両方なのか。 よくわからないが、とにかく何かが最悪で――。ボロボロと涙が溢れて止まらなかった。
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彼女は無いというが、心は、あって。 いや、あった、と言うべきか。いまはもう、粉々だから。 粉々だけど、でも、それでも、あって。
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血反吐を吐くような思いで、やっと積み上げてきた今の自分だ。そんな自分を否定するような言葉を、どうして簡単に使うことができるのだろう?
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伊達にアホな生き方してきたわけでもなく、マッカは高い思考力と身体能力を身につけていた。その結果というべきか、入隊試験ではトップを取り、アルゼナの宇宙軍士官学校への入学を推薦される。
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みじめでみっともなくて、最悪だった。 そしてマッカは、たまたま募集していた宇宙軍への志願を決意したのである。
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ああ、そうさ。と開き直る。(確かに俺は、ちょっとだけ、ナルシスト) 彼女のことは好きだが、――本当に、好きだが。彼女のためなら世界のすべてだって敵に回せるが。彼女を助けるためなら、命だって引き替えにしても構わないと思っているが。
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許しを乞うような真似は、できなかった。 ただ一言、「ごめん」と謝れば済むのかも知れないが、どうしてもその言葉だけは使えなかった。
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「……わけわかんねえよ……」「あなたの一番は、あなたなのよ。わたしじゃないわ、決して」 マッカは何も反論しなかった。ただ、表情を消して、黙り込むだけだ。
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