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作者:
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時間:
2014-5-31 11:49
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埃っぽい香り。土のようなにおいもする。どこかの、土倉だろう。いつの間にここへ逃げてきたのか覚えていないが、取り敢えず追手の気配はないとほっとした瞬間に、頑是無い声が耳に届いた。
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「……けが、してるの?」そこは、とても暗い場所だった。血に濡れた脚は痛みを訴えていたけれど、それにかまっている余裕などない。
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高い位置にある、くり抜いただけの小さな窓から、月の光が忍び込んで、相手を照らした。長い黒髪に黒い瞳の小さな少女だった。良くも悪くも平凡な顔立ちだが、その頬には赤黒くなった痣がある。
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少女の手を離して目をやると、何故か傷の辺りが仄かな橙色の光に包まれている。少女はとても、真剣な顔つきをしていた。「……ふう…」暫くして、少女は額に浮かんでいた脂汗を拭う。そして、問いかけてくるのだ。大丈夫? もう痛くない? と。驚いた。この少女は――治癒術が使えるのか。「よかった、なおって。あのね、これ、おばあちゃんがおしえてくれたんだ。まじゅつ、っていうんだって」幼い少女は疲れた色を見せつつ、言葉を紡ぐ。「でも、おばさんはキモチワルイっていうの。つかっちゃだめっていわれてるのに、きょうもけがをしてることりさんをてあてしてあげたのがみつかって、ここにとじこめられちゃった」えへへ、と笑う少女に、何故か苛立ちを感じる。私、悪い子だね、と彼女は言った。おそらく、いつもそういって罵られているのだろう。人よりもはるかに良い視力で観察した結果、少女はあちらこちらに痣のようなものがあるのがわかった。http://www.rayban.shineboxpdx.com――その痣は、人の手形の形をしていた。「わんちゃん…ううん、おおかみさん?」きょと、と首を傾げ、少女は近づいて来ようとする。クロックス スニーカーううう、とうなり声をあげると、一瞬躊躇ったものの、少女は足を運ぶのをやめない。ふと、気付く。少女は片足を引きずっている。
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ひとりといっぴき(トリップ)<前篇>
ヒトは嫌い。何もかも奪っていくから。――ヒトは怖い。いつも、何かを企んでいるから。
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だが、牙が刺さっても少女は身じろぎしただけで、何度もごめんねと謝りながら、反対の手を伸ばしてきた。
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「ごめんね、こわいよね。でも、ちょっとだけさわらせてね」威嚇の声をあげるが少女は動じない。伸びてきた手に、思わず噛み付いた。
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その手が、先ほど負わされた後脚の深い傷に触れる。不快な感覚に、更に牙を食いこませようとした瞬間、仄かな温もりを感じた。
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